・リフォームでは口約束ではなく必ず契約書を交わして、書面に残しましょう。
・契約約款は難しく感じますが、ポイントを押さえて確認しましょう。
・契約書は事前にもらうなどして、じっくり確認しましょう。
・リフォームで変更が生じたら、必ず変更内容を残しましょう。
リフォームに必要な契約書とは
リフォームを依頼する業者が決まったら、さっそくリフォーム開始、という訳にはいきません。
リフォームを始める前には、契約が必要です。
工事の内容と完成時の確認方法、不具合に対する対処をどうするかなど、ちゃんと書面に残しておく必要があります。
いまだに口約束だけのリフォームもあるようですが、仕上がりに対する不満があったりしても、契約書がないと泣き寝入りになってしまいます。
日帰りでの修理程度でしたら不要ですが、その他の場合はちゃんと書面で契約書を結ぶようにしましょう。
契約書の種類
契約書と一口に言ってもいくつかの種類があり、それがセットになります。
基本的には、
- 工事請負契約書
- 請負契約約款
- 設計図面
- 請負代金内訳書
の4つが基本的なセットで、大規模な工事でしたら、工事のスケジュールの詳細を載せた「工程表」があった方がより安心です。
トイレの交換のみなどの数十万円の簡単なリフォームでしたら「注文書」と「注文請書」など簡単な書類のみ場合もありますが、基本的にはトラブルの時に困らないように、ちゃんと契約書を準備してもらいましょう。
代表的なテンプレート
様々な団体の契約書がありますが、「住宅リフォーム推進協議会」のホームページに中・大規模工事用の工事請負契約書と請負契約約款、小規模工事リフォーム用の注文書と請書のフォームがあります。
こちらの契約書が使用されていれば安心です。
規模の大きい業者でしたらオリジナルの契約書がある場合も多いので、その場合は内容を見比べてみて、不利な点がないか確認するといいでしょう。
個々の契約書については、以下のような内容が書いてあります。
工事請負契約書
工事の施工場所、期間、金額、支払方法などリフォームに関する基本的に事項ついて書かれています。
各項目について打ち合わせ時の内容と違っていないか、確認しましょう。
工事請負契約書の例(住宅リフォーム推進協議会)
支払方法について
リフォームの支払い回数については、金額により支払い回数が違う場合が一般的です。
会社によって違いますが、一般的な目安は
- 数十万円ぐらいまでは完了時に一括
- それ以上は契約時と完了時の2回で50%ずつ
- もしくは契約時・着工時・完了時の3回に分けて30%、30%、40%
などのパターンがあります。
500万円や1,000万円を超える金額が高いものほど3回の場合が多く、4回に分ける場合もあります。
気を付けなければいけないのは工事の完了前、特に着手前に全額支払ってしまわないことです。
着手前だと会社が倒産してしまう可能性もありますし、悪徳業者でしたら持ち逃げされる可能性もあります。
またそこまで悪いケースでなくても、仕上がりで不満な点があっても、あまり要望を聞いてもらえなくなったり、対応が遅くなったりする恐れがありますので、気を付けましょう。
印紙について
印紙税法の規定により、リフォームの工事請負契約書には印紙が必要になります。
契約書は2部作成し、印紙を一枚ずつ貼り、業者側と注文者側で1通ずつ保管するのが一般的です。
印紙の価格は工事の金額によって変わりますが、例えば工事金額が500万円~1千万円で5,000円、1千万円~5千万円で1万円と高額になる場合もありますので、2枚とも注文者側でと言われたら、1枚は業者側お願いするようにしましょう。
下記の国税庁のページで価格が確認できます。
軽減措置の適用は期限付きとなっていますが、もうずっと期限は延長されていますので、今後もしばらくは延長されると思います。
その都度確認するようにしましょう。
請負契約約款
請負契約約款(やっかん)は契約書を補完する、細かい条件が記載されたものです。
字が細かく、面倒なので読まない人も多いと思いますが、大事なリフォームに関することですので、以下の大事な点だけでも確認しましょう。
遅延損害金について
遅延損害金とは請負者(リフォーム施工業者側)の都合により工事が遅延した場合は請負者側が、施主(注文者)の支払いが遅れた場合には注文者側が支払う、損害を賠償する金額を定めたものです。
金額は利率で表され、どちらが支払う場合も同じに設定されている場合が多く、住宅リフォーム推進協議会の約款では年14.6%となっています。
他の約款には1日に付き4/10,000という表現がされている場合もありますが、これも年率に直すと14.6%になります。
一般的にはどちら側も同じ年率になっていますが、請負者側が有利な年率の設定をしていないかチェックしましょう。
契約の内容に適合しない場合の担保責任について
契約通りのものが出来ていない場合、つまりリフォームして引き渡した後に不具合が見つかった場合の請負者の責任に関する項目です。
「契約不適合の場合の担保責任」とも言われ、以前は「瑕疵担保責任」と言われていましたが、民法改正により令和2年4月よりこのような表現になっています。
民法では従来は請求できる期間は内装などは引き渡しから1年、構造上の欠陥は5年となっていましたが、現在は引き渡しから10年、契約不適合を知った時から1年以内に通知となっています。
ただし民法どおりの期間ということはほとんどなく、契約ごとに保証期間は変わってきますので、約款の確認が必要です。
リフォーム推進協議会のテンプレートでは引き渡しから2年、設備や内装については1年となっています。
それぐらいあればいいですが、一般的には引き渡しから1年という契約も多いようですので、最低1年は確認しましょう。
それより期間が短いなど不利な条件の場合は、見直しをしてもらうことが必要です。
その他リフォーム会社によっては独自の保証を付けるところもありますので、契約前に確認しましょう。
紛争の解決の場所について
万が一裁判になった時の裁判所の場所について、リフォーム推進協議会や他の団体の契約書でも通常物件の所在地となっていますが、まれにリフォーム会社の本社所在地などになっている場合があります。
あくまで万が一に備えてですが契約してからでは変更が効きませんし、一般的には物件所在地なので、違う場合は変えてもらいましょう。
その他クーリング・オフについても記述がありますが、こちらは訪問販売、電話勧誘などから契約した場合は取り消しが可能ですが、注文者の方から依頼した場合は適用になりませんので、ご注意ください。
設計図面
内装クロスの張り替えや外装の塗装などの軽微なリフォームでは図面がない場合もありますが、間取りの変更などを伴うリフォームでしたら必ず図面をもらって、リフォームの範囲を確認しましょう。
リフォーム前の設計図と、リフォーム中に変更があった場合それを反映させた最終的な図面(竣工図)をもらっておけば、次回リフォームを行う時も安心です。
請負代金内訳書
見積書、見積明細書などという場合もありますが、最終的に使用する設備、部材などが間違っていないか確認しましょう。
契約上の注意点
上記のような契約書類を取り交わすわけですが、注意しなければいけない点があります。
その場での確認は避ける
前述のような契約書の確認するポイントがありますが、注意しなければいけないのは、契約書をもらったその場でこれだけのことを確認するのは難しいということです。
約款などは字が小さく読みたくないとは思いますが、リフォームに関しては失敗したら一生後悔しますので、内容を確認する必要があります。
それゆえ、契約書の内容を事前にもらっておくか、もしくは契約書をもらって確認してから後日押印して返すか、どちらかにすればじっくり確認することができますので、事前に依頼しておきましょう。
工事内容変更の記録を残す
工事の途中でリフォームの内容が変更になることもよくあることです。
その場合「ここはこうしましょうか」「お願いします」などの口約束で済ましてしまうと、無料だと思っていても後から追加料金が請求されることがあります。
工事で変更ある時もちゃんと書面に残しておくことが大切です。
業者の方で「工事内容変更合意書」などのフォームを持っていると思いますが、ない場合も変更内容と金額が確認できて押印されたものを残しておくようにしましょう。
また金額0円のサービスで追加工事をやってもらう場合も、トラブルを避けるために書面を残しましょう。
住宅リフォーム推進協議会にも「工事内容変更合意書」のフォームがありますので、こちらも参考にしましょう。
工事内容変更合意書の例(住宅リフォーム推進協議会)
契約が終わればいよいよリフォーム工事の開始です。